【本】朝が来る|あらすじ&ネタバレ感想🌼前向きな気持ちになれる!【辻村深月】

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辻村深月さんの本『朝が来る』がとても良かったので、レビュー記事を書きました🍄

この本は、「特別養子縁組」という制度を題材に扱っているので、小難しい小説なのかなと思っていたのですが、全然違いました!
登場人物の心情が主体となって物語が進んでいくので、台詞が多く、とても読みやすい本でした。

そして、読み終わった後は、視界が広がるような読後感をおぼえました。
この本は、「日々を前向きに生きようと思わせてくれる本」だと思います。
疲れているときや、色々と悩んでしまう時期にぜひ読んでみてほしいです🍄

大筋のネタバレはなしで、あらすじと最後まで読んだ感想をお伝えしたいと思います。

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あらすじ

この本は、養子を迎えた1組の夫婦と、赤ちゃんを養子に出した1人の少女の視点から、物語がすすんでいきます。
 

長く辛い不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選んだ夫婦は、民間団体の仲介で男の子を授かる。朝斗と名づけた我が子は、やがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに電話が。それは、息子となった朝斗を「返してほしい」というものだった——。(裏表紙から引用)

 

本の概要(大筋のネタバレなし)

この本は、以下の2つの視点から描かれています。

 

◎ 不妊治療の末に、「特別養子縁組」という制度を利用することを選択した夫婦。主に、妻である佐都子の視点。

◎ 中学生という若さで妊娠してしまった少女、ひかりの視点。

 

物語の前半

養子を迎えいれた妻:佐都子の現在の日常から、物語がスタートします。
その後、過去を振り返る形で、不妊治療の辛さや、特別養子縁組を選択するに至った過程が描かれていきます。

 

◎ 不妊治療に向き合う、夫婦の心情
◎ 特別養子縁組という制度を選択する、当事者の心情

が、前半で描かれていきます。

 

物語の中半

中学生という若さで妊娠してしまった少女:ひかりの視点から、話が語られます。

ひかりは、初潮がくる前に妊娠します。
妊娠が分かったときには、人工中絶をする期間を過ぎてしまっていました。

産むしか選択肢がなくなった少女ひかりと、それを取り巻く家族の心情が描かれていきます。

 

ひかりと母親との関係性についても、色々と考えさせられます。
母親は、育児放棄や虐待をしているわけではありません。
娘であるひかりを大切に思っていることは間違いないのに、大切であるがゆえに、自分が想像する「幸せ像」を押しつけてしまいます。

 

そして、少女:ひかりは、自分の子どもを養子に出すことを決意します。
ひかりの産んだ子どもは「朝斗」と名付けられ、佐都子夫妻に大切に育てられます。

 

しかし、ある日「朝斗を返してほしい」と突然ひとりの女性が訪ねてきます。
この女性は髪を染め、最後に見た少女:ひかりとはかけ離れていました。
この少女は、本当にあの時のひかりなのか。

 

それを紐解くように、物語の後半では、
「ひかりが赤ちゃんを養子に出した後の生き方」について描かれていきます。

 

感想

この本の主人公は、少女ひかりだと思いました。
不妊治療の話も、養子縁組の話も、あくまでも題材のひとつに過ぎません🍄

 

中学生という若さで、妊娠し、子どもを産まざるを得なくなったひかり。
小さい頃から感じている母親との確執。

 

子どもを養子に出してからも、ひかりの人生にはいろいろな困難が待ち受けています。

 

この本を読み進めながら、
「一体何が間違っていたのかな」
「妊娠さえしなければよかったのかな」
などと、ひかりの母親と同じような気持ちになりました。

 

しかし、最後まで読むと、大事なことに気が付きます。
それは、青臭いですが、「前向きに生きることの大切さ」です🍄

 

ひかりは、中学生という若さで出産を経験しました。
そして、養子に出さざるを得なかったことでできた心の傷を、ひかりの家族は理解しようとはしてくれませんでした。

それでも、今の状況から、「自分の将来のために前向きに行動しよう」と考えることができたら、全然違う未来に辿り着くことができたんじゃないかと思いました。

 

仮に母親がいわゆる毒親だとしても、母親が全て悪いわけじゃない。
大事なことを何も教えてくれない周りが大人が、全て悪いわけでもない。

 

過去に縛られたり、周りの人間に縛られたりしていないで、自分の人生を前向きに生きていかないといけない。
そして、「前向きに生きることに、遅いなんてことはない」と気付かされます。

 

以前の私は、「前向きに」なんて、
〇 綺麗ごとだ。
〇 誰かを適当に励ますときに使う言葉だ。
と、ずっと思って生きていました。

 

しかしそれは、
「前向きに生きることで、その後の人生が大きく変わる」という現実を知らなかったからだと思います。

 

この本は、決して暗い気持ちになる本ではありません🍄

 

最後まで読むと、救われます。
希望を感じることができます。
前向きに生きることの大切さに、改めて気付かせてくれます。

 

「なんかうまくいかない...」
「人生に疲れた。飽きた。」

そんな気持ちになっている方に、おすすめしたい本の一冊です🍄

ちなみに、この本は、最後の1文が最高です。
最後の1文が、とても心に響きました。

 

私は、人生に疲れているときに読んだので、最後めちゃくちゃ泣きました。
ぜひ最後まで読んでみてください🍄 

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