「進撃の巨人」の物語の後半では、エレンは地ならしを発動させ、結果的に人類の8割を滅ぼしました。
エレンが「地ならし」をした理由。
アルミン達に止められる未来が分かっていなくても、どうしても世界を平らにしたかった理由。
それは、エレンが本当に求めたのは、
巨人のいない世界ではなくて『壁のない自由な世界』だったから
だと私は思います。
「進撃の巨人」では、エレンは「自由の奴隷」という表現が使われています。
エレンに「過剰なまでの自由への執着」をもたらしたのは「父親であるグリシャ」と「親友であるアルミンの影響」が大きいです。
アニメでは、アルミンが「君に外の世界の本を見せたのは僕だ」とそれを認めている台詞が追加されました。
そして原作でもアニメでも「グリシャの無自覚の洗脳」が、エレンに最後の決断をさせたことが示唆されていました。
エレンは赤ん坊のときから、父親であるグリシャに「お前は自由だ」と言われてきたこと
しかしエレンの目の前には、生まれたときからずっと「うっとおしい壁」が立ちはだかっていたこと
その矛盾、そしてアルミンから聞かされた「外の世界への憧れ」は、エレンの「鳥かごの中に囚われる屈辱」を増幅させる結果につながりました。
そんなエレンが「海の外にはまた別の壁がある」と知ったとき。
原作では「ガッカリした」という台詞で表現されていましたが、そこにあったのは心からの失望です。
そのときエレンの中の「自由への憧れ」は「自由への執着」にはっきりと形を変えたのでしょう。
誰よりも自由であるべき自分自身が、生まれときから自由を阻まれている
人は生まれたときから自由であり、それを阻むことは絶対に許されないことである
エレンの「自由への執着」は「自由の奴隷」と表現されるに等しいものでした。
大切なパラディ島の仲間たちを守りたい。
この気持ちがエレンの中にあったのも事実です。
でも「生き残れるか分からない戦いにお前らを巻き込んだ」とエレンもはっきりと認めています。
ここから、エレンが1番成し遂げたかったことは「自由な世界=壁のない世界」の実現だったことが分かります。
エレンは「巨人の力がこの世から消える」という結末に向かって、進み続けることを選んだんです。
それは「巨人のいない世界」が「壁のない世界」への第1歩につながるからです。
エレンが「地ならし」を決断した理由は、
何かを犠牲にすることになったとしても「自由を阻む壁のない世界」を実現するのための1歩を、どうしても踏み出したかった。「人類の8割の虐殺」に葛藤は大きくても、エレン自身がその気持ちを抑えることができなかった
これが答えかなと私は思います。
ちなみに最初の1歩目を踏み出したエレンですが、原作では「壁のない世界」の実現はエレンからアルミンに託されています。
原作ラストの
アルミン、お前なら壁の向こう側に行ける
人類を救うのはお前だ
というエレンの台詞は、改めて読むととても胸が熱くなります。
この記事では、次の内容について順番に解説しています!
① エレンが地ならしをした理由
② エレンが世界を平らにしたかった理由
③ 「自由の奴隷」になった理由
アニメでは少し分かりにくかった「グリシャの無自覚の洗脳」を示唆する場面についても解説しているので、ぜひ参考にしてください!
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- エレンが「巨人の駆逐」を決意した最初の理由
- エレンは「海の外の世界」を知って絶望した
- エレンの目的が変わった
- 【結論】エレンが地ならしを発動させた理由!
- エレンが人類の8割を滅ぼすことができた理由
- エレンが「自由の奴隷」になった2つの理由
- エレンにとっては「巨人のいない世界」はスタートでしかない
エレンが「巨人の駆逐」を決意した最初の理由
エレンはどうして巨人を駆逐しようと思ったの?
「進撃の巨人」はエレンが「この世から巨人を駆逐すること」を強く決意する形でスタートします。
エレンを突き動かした最初の理由は、
① 巨人から「自由な世界」を取り戻したい
② 大切な人を巨人に奪われたくない
この2つの気持ちです。
目の前には生まれたときから壁があった
生まれたときから、俺の目の前にはうっとおしい壁があった
生まれたときから目の前にあるのは「巨人から守ってくれる頼もしい壁」ではありません。
エレンにとっては「心底うっとおしい壁」だったんです。
自分の自由を阻む壁の存在を、エレンはずっと窮屈に感じていました。
鳥かごの中に囚われる屈辱
その日、人類は思い出した...
鳥かごの中に囚われる屈辱を ―――
これは、物語の冒頭に出てくる台詞です。
この台詞も、エレンの心情を表しています。
エレンにとっては、壁の存在も、壁の中で生きることも「屈辱」だった。
その理由は「自由を拒まれるから」です。
エレンは、巨人が壁の中を蹂躙する前から「壁のない世界」をずっと求めていたことが分かります。
目の前で母親を失った
この世から1匹残らず駆逐してやる...!
そして決定打になったのが、母親の死です。
先ほども書きましたが、エレンは生まれたときからずっと、壁の存在をうとましく思っていました。
巨人が町を蹂躙するずっと前から「巨人から自由な世界を取り戻したい」という気持ちが、エレンの中にあったんです。
そして母親の死がきっかけとなり「巨人をこの世から1匹残らず駆逐する」と決意するに至りました。
エレンは「海の外の世界」を知って絶望した
エレンを突き動かした最初の理由は、
① 巨人から「自由な世界」を取り戻したい
② 大切な人を巨人に奪われたくない
この2つの気持ちです。
エレンは「巨人さえ倒せばこの2つの望みは叶う」と考えていました。
壁の外には「別の壁」があることを知った
でも、現実には違いました。
壁の外には、エレンの自由を阻む「別の壁」が存在していたのです。
自分たちは世界の敵である「エルディア人」であること
外の世界では「エルディア人」は迫害され、収容区で生活していること
この事実は、すぐに解決策を思いつけるような内容ではありません。
エレンは「壁の外には求めていた自由が存在しない」という事実に絶望します。
心底ガッカリした
壁の外で人類が生きていると知って、オレはガッカリした...
原作でもアニメでも、このシーンはとても印象に残ります。
エレンは「ガッカリした」という言葉を使っていますが、実際はそんなレベルではありません。
心からの絶望
それくらい、エレンの衝撃は大きなものでした。
壁の外の世界に憧れていたのは、アルミンも同じです。
でも、アルミンはそこまでは失望していません。
壁の外に人類がいたとしても、塩の湖や、氷の大地が存在していることには変わりはありませんから。
でもエレンにとって、1番大事なことは「壁の外の自由」だったのでしょう。
このシーンからは、エレンは自分が思っていたよりもはるかに「壁の外の自由」に固執していたことが分かります。
エレンの心のベクトルが傾いた
向こうにいる敵...
全員殺せば、
オレ達、自由になれるのか...?
海の向こうには「自由」ではなく「巨人よりもはるかに強い敵」がいることを知ったエレンは、上の言葉を口にします。
エレンの「この世から巨人を駆逐する」という行動を突き動かした理由は、
① 巨人から「自由な世界」を取り戻したい
② 大切な人を巨人に奪われたくない
この2つでした。
でも「海の外には別の壁があること」を知りガッカリしたエレンは、より「自由」を求める気持ちが大きくなったのでしょう。
エレンは「自由の奴隷」だった
みんな何かに酔っ払ってないと、やってらんなかったんだ
人はみんな、何かの奴隷だ
これは、リヴァイ兵長の育ての親であるケニーの台詞です。
エレンの中には「大切な人を巨人に奪われたくない」という気持ちも、もちろん存在しています。
しかしエレンは「自由を強く求める気持ち」があったからこそ、ここまでたどり着くことができたんです。
エレンを「海」まで突き動かし続けたのは、
巨人から「自由な世界」を取り戻したい
この気持ちのほうが大きかったのだと思います。
エレンの目的が変わった
エレンの最初の目的は、
① 巨人から「自由な世界」を取り戻したい
② 大切な人を巨人に奪われたくない
この2つでした。
しかし、世界の現実を知ったとき。
エレンの目的は「この世から自由を阻む壁をなくすこと」が1番になったのだと、私は思います。
「世界から自由を阻む壁をなくすこと」が1番の目的になった
エレンの自由を強く求める気持ちは、結果的に「世界から壁をなくすこと」に行き着いたのでしょう。
エレンは最後のほうでは、生き残られるか分からない戦いに、大切な人も巻き込んでいきます。
アニメではエレン自身が、
サシャもハンジさんも自分のせいで命を落とす結果になってしまった...
と話していました。
しかしそれでも、エレンは「世界から自由を阻む壁をなくす」ために行動をとり続けることを選択します。
「世界から壁をなくす」
そのための第一歩は、巨人の力をこの世から消滅させることだからです。
エレンは何を犠牲にしても、その一歩目を踏み出すことを選択したのだと思います。
自分自身を止めることができなかった
エレンにとって、壁のない世界。
自由な世界は、何ものにも代えがたい、絶対に手に入れたい世界なんです。
だからこそ、たとえアルミン達が止めなくても、たとえ人類が滅びようとも、エレンは地ならしを発動させたでしょう。
巨人の力が、この世から消える
「壁のない自由な世界」の第一歩を踏み出せる
そのためなら、結果的に何が犠牲になろうとも、エレンは自分自身を止めることができなくなっていたのだと思います。
「巨人の力の消滅」は第一歩に過ぎない
アルミン、お前なら壁の向こう側へ行ける
ちなみに原作では「壁のない世界」の実現は、アルミンに託しています。
エレンはアルミンと最後に抱き合い、
人類を救うのは、アルミン、お前だ
と伝えます。
このシーンからも、エレンの地ならしの真の目的は「世界から壁をなくすこと」であり、エレン自身は「壁のない世界」が人類を救うことになると考えている、ということが推測できます。
【結論】エレンが地ならしを発動させた理由!
① 世界から「自由を阻む壁」をなくすため
② そのだめの第一歩として「巨人の力」を消滅させるため
③ エレン自身がそれが人類を救うことになると考えているから
結論としては、エレンが地ならしをした理由は上の3つだと考えられます。
ただし、どのような理由があったとしても「人類の8割を滅ぼす」なんてこと
普通はできません。
エレン自身も、ものすごく葛藤している様子が描かれていました。
「進撃の巨人」では、エレンがなぜ地ならしを発動できたのかという部分も、1つの答えが描かれています。
エレンが人類の8割を滅ぼすことができた理由
エレンが地ならしをできたのは、パラディ島の人たちを守りたいという気持ちからだよね?
エレンが「人類の8割を滅ぼす」という悪行を引き受けることができたのは、
自分が悪役になる形で、アルミン達を世界の英雄にして守りたい
この気持ちも、もちろん原動力になったでしょう。
ただし原作の最終回では、エレンは「これが真の目的ではない」とはっきりと否定してる場面が描かれています。
ちゃんと目的があったにせよ、エレンが殺戮者にまでなることができたのは、
「自由に対する過剰なまでの固執」
これが最終的に「地ならし」という決断につながったのだと思います。
世界を平らにしたかった
お前達に止められる結末がわかっていなくても、オレはこの世の全てを平らにしたと思う
まず原作34巻で、エレンはアルミンにこのように話しています。
アルミン達が止めないのなら「アルミン達を英雄に仕立て上げる」という目的は果たせません。
それでも「エレンはこの世の全てを平らにする」つまり「地ならしを発動させる」という選択を選ぶということが明かされています。
エレン自身「理由は分からない」
...なんで?そこまでする必要、本当にあった?
というアルミンの疑問に対して、エレンは「なんでかは分からないけど、どうしてもやりたかったんだ」と答えています。
エレン自身「自分が地ならしをどうしても発動したかった理由」を分かっていないことが描かれています。
答えは「過去の記憶」にあった
ただエレンは「分からない」と言いながらも、遠い記憶を思い出しています。
その記憶は、自身が赤ん坊のときに、グリシャに抱かれているときのものです。
生まれたばかりのエレンに、ギリシャはこう声をかけています。
エレン...
お前は自由だ...
そして、その後に描かれているのは「赤ん坊の目のアップ」です。
「赤ん坊のエレンが何かを見つめている」ということが示唆される映像が、描かれています。
赤ん坊の目に映ったものは何?
赤ん坊のエレンは何を見ていたの?
瞳の中には何も描かれていないため、これは想像になります。
私は、赤ん坊のエレンの目には、きっと「壁」が映っていたのだろうと思っています。
生まれたときから、俺の目の前にはうっとおしい壁があった
という台詞は、ここにつながるのでしょう。
赤ん坊のエレンが描かれているのは、たった1コマです。
ですがそれだけで、エレンは生まれたときから「お前は自由だ」とグリシャから聞かされて育ったことが推測できます。
でも、生まれたときからエレンの目の前にあるのは「自由」ではなく「うっとおしい壁」なんです。
この矛盾は、エレンの「自由への衝動」をよりかき立てる結果につながったと、私は思いました。
エレンが「自由の奴隷」になった2つの理由
「自由に対する異常なまでの固執」
原作では「自由の奴隷」という表現が使われています。
エレンが「自由の奴隷」になったのは、
① 父親であるグリシャ
② 親友であるアルミン
この2人の影響が大きいことが示されています。
ちなみにアニメの最終回では、アルミン自身がこれを認め、エレンに伝えています。
おそらくアニメでは分かりやすくするために、父親のグリシャについての解説は省略したのかなと思いました。
グリシャによる洗脳
え、グリシャはエレンを洗脳していたの?
グリシャは、第一子のジークのことは洗脳していました。
ただしエレンのことは、洗脳しようとしていません。
壁の中で生活をするうちに、ジークにはひどいことをしたと後悔していました。
ただですね、原作34巻で描かれた「赤ん坊のコマ」からは、エレンの「世界を平らにしたかった」という衝動の原因は、ここにあることがはっきりと書かれています。
エレン自身も分からないけれど、そのワンシーンに原因があることが示唆されています。
この場面は、アニメ最終話でも入れ込まれています。
私は、なんとなく分かります。
生まれて間もない赤ん坊に、
エレン、お前は自由だ
と伝えていたということは、エレンが物心がつく前から、グリシャは何度か同じ言葉を口にしていたのではないでしょうか。
親の発言は、子どもに想像以上の影響を与えると言われています。
「自由だ」と物心がつく前から言われていたエレンは、
◆ 自分は自由な存在なんだ
◆ 自由が脅かされることは何よりも屈辱なんだ
◆ 自由を奪われることは許されないことだ
とすり込まれてしまったのではないでしょうか。
「自由を阻む壁のない世界」
その第一歩を踏み出すためなら、自分でも気付かないうちにどんなことでもしてしまう。
エレンにはそういう性質があったというよりも、育てられた環境から「そういう思考を強く持ってしまった」ということなのかなと私は思いました。
本当のエレンはただ真っ直ぐなだけ
私は、本当のエレンは「ただ真っ直ぐなだけ」なんじゃなのかなと思ったりします。
その真っ直ぐさが「自由を追い求めること」に向かってしまった結果が、進撃の巨人の結末なのでしょう。
エレンの最初の目的は「大切な人たちを守りたい」という気持ちからです。
そのための手段が「この世から巨人を駆逐すること」でした。
でも最後には「この世から巨人の力を消すこと」は、大切な人を犠牲にしてでも成し遂げたい目的になっていました。
生まれたときから、自由を求めていたエレン。
「お前は自由だ」というグリシャからの刷り込み。
しかも、目の前にはずっと壁がある。
生まれたときから、自分はずっと自由なはずなのに...
このあたりの感情が、エレンの行動を後押ししてしまったのだと私は思いました。
エレンにとっては「巨人のいない世界」はスタートでしかない
アニメの最終回では、ヒストリアの台詞の中に「託された」というフレーズが含まれています。
巨人の力がこの世から消えても、世界から争いはなくならない。
それを分かった上で、エレンは「巨人の力をこの世から消すこと」を第一優先にして行動しました。
自分の役目は、巨人の力を消滅させること
「壁のない自由な世界への第一歩」を踏み出すこと
エレンはこのように考えていたのではないでしょうか。
そしてエレンが本当に求めていた「壁のない自由な世界の実現」は、アルミンやヒストリアに託して、エレンは別の世界へ旅立ちました。
やり方は間違っていたかもしれないけれど、エレンは、エレンなりに役目を全うした
進撃の巨人の最終回では、そういう結末が描かれていたと私は思いました。
結局エレンは「巨人のいない世界」に、そこまで大きな価値を感じることができなかったのだろうと私は思いました。
エレンは、自由の奴隷ですから。
「巨人がいない世界を実現できたこと」よりも、
壁のない自由な世界への一歩を踏み出せたこと
この事実のほうが、エレンにとっては大切なことだったのだと思います。
だからエレンにとっては、巨人の力の消滅は1つのゴールですらなかったのかもしれません。
一方で、私はリヴァイ兵長は対照的に描かれていたと思いました。
リヴァイ兵長が志したのは、一貫して『巨人のいない世界の実現』です。
ハンジさん達と想像していた、馬鹿みたいにおめでたい世界ではなかったけれど、1つの結末として、受け入れている様子が描かれていたと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
他にも色々な考察記事を書いているので、よければ合わせて読んでいただけると嬉しいです!
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